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大統領専用車とは何か ― 歴代リムジンに宿る美しさと強さ
お車解説
皇居前の渋滞に巻き込まれ、ふと視線の先に御料車が滑るように現れたときの、あの独特の緊張と高揚。効率よりも使命を優先して設計された車は、美しさの質が違う。高級外車でなく国産であることに宿る誇り――「この国に、この技術あり」という静かな宣言。そんな思いと同じ線上に、アメリカの「大統領専用車」がある。政治の評価はさておき、車としての物語は圧倒的に面白い。ここでは、思想の道具としてではなく、純粋に「移動の使命」を背負った機械がどのように進化してきたかを、年代順に辿っていきたい。 馬車... -
ステーションワゴンの歴史|アメリカ車が描いた100年の実用とスタイル
お車解説
朝のガレージに、低く長いワゴンが沈む。無可動のブローニングM2が2丁、流しそうめん用の竹が7本、里芋が20キロ。笑ってしまうほど積めるのに、横顔は驚くほどスマートだ。ステーションワゴンというボディは、いつだって「実用」と「スタイル」の綱引きの上に立ってきた。ここでは、その100年をざっと振り返る。 ステーションワゴンとは?定義とアメリカ流の捉え方 定義はメーカーや時代で揺れるが、ここではアメリカ流の感覚に倣う。「前席の後ろに座席があり、たたむ・外すことで荷室にできる」「専用のプラット... -
フォード・ランチェロ vs シボレー・エルカミーノ──「クーペユーティリティ」という矛盾の美学と歴史
お車解説
巨大なピックアップが当たり前のアメリカで、「クーペのスタイル」と「トラックの実用」を一台に同居させようとした奇妙で魅力的な車種がある。フォード・ランチェロとシボレー・エルカミーノだ。どちらも“クーペユーティリティ”という希少なボディスタイルに属し、誕生から消滅まで互いを強く意識しながら競い合った。本稿では、二台の歩みを世代ごとにたどりつつ、その存在が示したアメリカ車の栄華と揺らぎを振り返る。 クーペユーティリティという発想 着想の源流はオーストラリアだ。1930年代、「日曜は教会...
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